interview & text : タカネ

DeejayとSoundそれぞれ一線を走るRUEEDとYARZのTONZILLA。共にレゲエ界を牽引する若き才能として注目を集める二人だが、今回TONZILLAがRUEEDをプロデュースするという形で、初めてのダブルネームでのアルバム『INSANE』をリリースした。公私共に親交の深い二人の化学反応に、とくと耳を傾けよ!!!

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●今回のアルバム『INSANE』をRUEEDさんとTONZILLAさんのダブルネームでリリースすることになった経緯をお聞かせいただければと思います。

RUEED:TONZILLAとは10年以上の付き合いで、俺のバックDJをやってもらったりもしているし、一番よく知っているサウンドなんです。付き合いの中でいろんな意見交換をしているうちに、自然に一緒に曲を作ってみようという流れになりました。以前にも一緒にやっている曲はリリースしているんですけど、その曲がまずはプロトタイプとなって、「TONZILLAがRUEEDをプロデュースする」という形で今回のアルバム『INSANE』をリリースすることになりました。アルバムの構想自体は5年くらい前からあったんですけど、紆余曲折を経てようやく形になりましたね。


●なるほど。10年来の知り合いということですが、お二人が知り合ったきっかけは何ですか?

RUEED:自分がROAD TO 横浜レゲエ祭に出たりしている時に、仙台で同年代でゲストとして呼んでくれたのがTONZILLAたちだったんです。

TONZILLA:年齢的にも同い年なんです。


●すごく才能溢れる同い年ですね。今回のアルバム制作にあたってのコンセプトをお聞かせいただきたいです。

RUEED:まず一番大きいコンセプトは「TONZILLAがRUEEDをプロデュースする」っていうところですね。

TONZILLA:遊びながら、ライフスタイルの中で作った感じですね。5、6年かかっちゃってRUEEDにはすいませんって感じです(笑)


●では、アルバムを作るために短期間で制作するというよりは、お二人が遊んだりする流れの中で制作されたんですね。

TONZILLA:そうですね。今も制作自体は進行中なんですけど、5年前からの話が今回のアルバムで一旦形になった感じです。


●こういう曲ををやりたいなどの提案は、どちらが持ちかけることが多いんですか?

RUEED:今回に関してはTONZILLAが、「こういうのどう?」「こいつとやってみたらどう?」ってネタを持ってきたりとか、きっかけを俺にくれた上で、やっていく感じでしたね。今まではセルフプロデュース的にやっていたんですが、信頼できるブレインにプロデュースしてもらうっていうのが新鮮でした。今回フューチャリングしてもらったアーティストもすごく多いんですが、自分は今までそういうタイプでもなかったのでそこも良かったなと思います。普段から遊んでる人やつながりがある人と曲ができたので。


●確かに、前回のアルバム『Q』と『K』はそこまで客演は多くなかったですもんね。客演に多く入ってもらうというのもアルバムのコンセプトの一つだったんですか?

RUEED:客演が多いのはコンセプトというよりも自然の流れですね。

TONZILLA:本当に遊んでる感じです。先輩たちも年下の人たちも、関係を持っている友達たちだけでやらせてもらいました。


●やっぱり気心が知れている人たちでやった方がやりやすいですか?

RUEED:そうですね。でも仲がいいだけじゃなく、クリエイティブにも繋がれる人たちに参加してもらっています。アルバムとしても曲調がかなりカラフルになったので、そういう面でも飽きずに通して聴いてもらえるかなあと思いますね。


●では、1曲ずつお話を伺いたいのですが、まずイントロの「INSANE」からお願いします。この曲はDIAMOND NUTZさんも制作に参加されているとのことなのですが。

TONZILLA:DIAMOND NUTZさんのイベントにはずっと出させてもらっていて、教えてもらうことが多いんです。今回も「こうした方がいいんじゃない?」といろいろとアドバイスしてもらいました。

RUEED:レコーディングでもお世話になることも多いですね。


●2曲目はMVもでている「GANGALLE」ですね。これはどういった曲ですか?

RUEED:これは今回のアルバムの中心になる曲ですね。「GANGALEE」っていうのは「unruley」とか「rebel」なニュアンスを持つ言葉なんです。「rebel」にもいろんな捉え方があると思いますが、もっと自分たちがSoulを燃やしていくという姿勢を表現している楽曲です。


●お二人は、ダンスホールの中でもバッドな雰囲気がすごくカッコイイアーティストさんだと思います。3曲目は「BRAINWASH'22」という曲なんですけど、日本語訳すると「洗脳」という意味ですよね。

RUEED:この曲は以前ソロで出したものをリバイバルしたんです。フューチャリングしてもらってるYOYO-Cっていうのは、いろんな人に影響を与えた横浜のレジェンドなんです。自分もすごく尊敬しているんですけど、この曲をライブで一人でやった時に、YOYO君が曲をいいなって褒めてくれて。じゃあワンバース蹴ってくださいよってお願いしてこの曲ができました。わかってるやつはわかってると思うんだけど、今は洗脳だらけの世の中なんで。自分が10代の時に、「こういうのをレゲエでは歌っちゃっていいんだ」って思ったことも含めて、そういうレベルミュージックとしての要素がすごく入った曲ですね。


●次の曲「EXPLOSION」は今をときめくVIGORMANさんと共演されていますね。トラックにはGeGさんも参加されていますが、これはどう制作なさったんですか?

TONZILLA:これはGeGと遊んでる時に、「一緒にやりましょうよ」となって作りました。GeGも元々レゲエをやっていて、ジャマイカでも一緒だったことがあるんです。彼のトラックの中で、いいものを見つけたので、そこから二人でさらに相談やアドバイスをしあいました。いろいろ話しているうちに、RUEEDとVIGORMANで出すことになりました。


●では、この曲はTONZILLAさんやGeGさんたちのトラックメイカー主導のところにそれぞれのファミリー的存在である、RUEEDさんとVIGORMANさんが参加された形なんですね。

RUEED:曲の内容としては歌の名前の通り、爆発という感じですかね。ライブでカマすところまで想定して作りました。この曲に関しては、ゾクゾクするライブの雰囲気をイメージしましたね。VIGORMANもずっとやってきているだけあって流石でしたね。

●次はガラッと雰囲気が変わってギャルチューン、「I C U」ですね。Galianoさんと一緒にやるきっかけはなんだったんですか?

RUEED:これはもともとGalianoの曲だったんです。

TONZILLA :トラックもミディアムのラバーズだし、ちょっとエッチな感じですよね(笑)

RUEED: Galianoとの関係も長いし、この曲もすごく古い曲なんですけど、TONZILLAが新しく蘇らせました。

TONZILLA:あまり最近ラバーズのレゲエがないので、いいんじゃないかなって。

●次曲もギャルチューンの流れですが、CORN HEADさんとの共演ですね。

TONZILLA:これはウェストコーストやR&Bを少し意識した感じですね。

RUEED:CORN HEADもそういうのが得意なんでね。レゲエ畑ではあるんですけど、ウェッサイとかR&Bとかとのからみが上手なアーティストですね。

●次曲はスキットを挟んで、ガラっと雰囲気が変わりますね。

RUEED:そうですね。この「REMEMBER」という曲は、すでにリリースしているものなんです。オリジナルは前作のアルバム『K』に収録されていますね。この曲自体がTONZILLAがプロデュースに入っているんです。だからREMIXするにあたって誰にフューチャリングしてもらうかというのもTONZILLAも含めて最初から話しあいました。

●なるほど。今回はRudebwoy FaceさんとCORN HEADさんを客演に迎えていますが、その二人に声をかけた理由はなんですか?

RUEED:タイトルの「REMENBER」というテーマにも合っているし、こういうラガヒップホップな曲調がお二人ともすごく得意なので、安心して任せられるというのがありました。結果としても二人とも最高のバースをくれましたね。

●その次の曲は「TONARI」という曲ですね。

RUEED:この曲はもう10年以上前の曲なんです。それをTONZILLAのアイデアで違う切り口でやってみたらおもしろいんじゃない?っていうのでTriga Fingaをフューチャリングしました。

TONZILLA:もともとTriga Fingaがあのトラックで歌っていて、RUEEDもそのオケでも歌っていたりしたので。もとはサンプリングの曲なんですよ。

RUEED:この曲が一番ダブに近いかもしれませんね。ダブのスペシャルを録る時の発想で楽曲にしました。

●そういうところで、やっぱりTONZILLAさんと一緒にやっている意義というのが出てくると思います。セレクターさんとしての目線を踏まえた上で楽曲が制作できるとのはいいですよね。最後の曲は、MIONさんも参加されている、「No Test」という曲ですね。TONZILAさんと同じくMIONさんも仙台のアーティストさんですよね?

TONZILLA:そうですね。俺は出身も住んでいるのも仙台なので、MIONは一緒にやっているチームメイト的な存在です。彼はトラックも作っているので、RUEEDとフューチャリングして一緒にしようとなりました。

RUEED:内容としては湧き上がったラブを誰にも邪魔させないくらいの熱量で爆発させようという感じですね。このアルバムの中で一番最近のダンスホールっぽい曲だと思います。

TONZILLA:次のアルバムにつながるような曲でもありますね。


●次のアルバムももう構想ができているんですね!

TONZILLA:また5年かかるかもしれませんがお楽しみに(笑)


●では、最後にZION読者に聴きどころをお願いします。

RUEED:自分としてはすごく初心に帰ることができた作品だと思います。でも同時に新しいこともいろいろとできた作品だとも思っています。いろんな変化がある時代なんですけど、もっと自分自身を信じたり、強く持ったりするための種のようなものをこの「INSANE」でみんなに植えられたらなと。ライブやイベントもできるようになってきているのでまたみなさんとダンスホールでも出会いたいですね。

●リリースライブも期待しています! お二人ともありがとうございました!