2018.8.6

【祝70歳】今さら聞けない! ケン・ブースってどんな人? 〜HISTORY of Mr. ROCK STEADY〜

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「この旅を終わらす前に」。

“Mr. ROCK STEADY”ことジャマイカンミュージックの偉人・KEN BOOTHEは前回の来日ツアー中、ステージ上でそんなMCをした。

 

それは、日本という極東の島国に文字通り“旅”をしに来ていることでもあるし、自らの人生という名の“旅”のことでもある……。

 

ジャマイカンミュージックの永い歴史の中で、ほんのいっときだけ咲き乱れ、しかし、半世紀を過ぎても未だ、世界中のMUZIK FANS DEMを魅了してやまない“ROCK STEADY”という音楽カルチャー。今年、2018年にはめでたく70歳の古希を迎えたケン・ブースのジャパンツアーも再び開催される。では、この『ロックステディ』という音楽は、そして『ケン・ブース』とはいかなるアーテイストなのであろうか? 簡単であるが振り返っていこう。

響くロックステディはゆるやかに

まず、『ROCK STEADY』とは、あまたあるジャマイカンミュージックのサブジャンルのひとつで、歴史的にはスカとレゲエの中間に流行った音楽。Wikiによると「1966年から1968年の間」とあるので、かなり短命だったことになる。

その誕生には諸説あるが、ここでは

「66年のジャマイカを大熱波が襲い、あまりの暑さに流行歌もテンポの速いスカから曲調が自然とスロー・ダウンした」

というロマンティックな説を採用したい(何故なら2018年の日本も、ゆる〜いロックステディを聴きながら、昼間からビールをガブ呑みしたいほどの猛暑だから!)。

 

音楽的には当時のアメリカのソウルやPOPSのカバーが多く、また、甘いラブソングもとても多い。

 

実は、「66年」という年はジャマイカ初の公共団地であり、のちにキングストン最悪のゲットーとして知られることとなるティボリ・ガーデン(※あのドドスが根城としたエリア!)がJLPによって建設された年。また、ジャマイカのギャングが本格的に抗争に銃を使い出すようになったのもこの頃である。

 

波打ち際走る間

響くロックステディはゆるやかに

めんどくさいことも飛んでっちゃうぐらい

BASSLINEに乗って歌いましょ

 

小沢健二『東京恋愛専科』に歌われた一節であるが、どんどん物騒になっていく社会情勢の中、肌を焦がすような灼熱の太陽に照りつけられ、人々は束の間の安らぎを甘く切ない『ROCK STEADY』という音楽に求めたのであろうか? 想像は尽きない。

 

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そのような激動の時代のジャマイカで音楽キャリアを築いたのが本稿の主人公“KEN BOOTHE”である。レゲエ映画『Ruffn'Tuff』などでもお馴染みのストレンジャー・コールとのデュエットで頭角を現し、やがてコクソン・ドッドにその才能を認められ、ソロとして名門中の名門STUDIO 1(※ボブ・マーリーのウェイラーズなどを始め、多くの伝説的アーティストのキャリアの出発点となった超重要レーベル)より、『Mr. ROCK STEADY』というその名もズバリ!なアルバムでデビュー。ジャマイカン・ミュージックの歴史にその名を永遠に刻むこととなる。

 

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ロックステディ期に数多くの名曲を世に放ったアーティストであるが、中でも特筆しておかなければならないのは、やはり70年代に入ってからの『Everything I Own』の大ヒットであろう。

 

ロックバンド・ブレッドのカバー曲である本作は、74年に3週連続でイギリスでナンバーワンHITを記録(※亀ラジによると当時ケン・ブースは英国でのヒット具合を全く知らなかったらしく、空港にリムジンが迎えに来てたまげたそうな)。『私のすべて』という“そのままやんけ!”な邦題をつけられて、日本版の7インチレコードまで発売されている。「ボブ・マーリー」や「ジミー・クリフ」ですら日本における認知度はまだまだ低かった時代にこれなので、その凄さがいかほどのものかお分かりになるだろうか? まさに「リガエのスーパー・ヒット」とはこのこと。文字通り「レゲエ」の「レ」の字もなかった時代なんですよ!!!

 

そして、そんな我らが『Mr. ROCK STEADY』の他の名曲にはどんなものがあるのか? 次の章では音源つきで紹介していこう!!

 

EVERYTHING I OWN

youtu.be

まずはここから。UKチャートナンバーワンに輝いた名曲であり、数多くの氏の楽曲の中でもTOPの認知度を誇る作品。87年にボーイ・ジョージがカバーし、こちらもUKチャートの首位を飾っている(※もちろん元歌はブレッドのver.であるが、ボーイ・ジョージのカバーはレゲエアレンジになっており、ケン・ブースの影響がありありと感じられる)。

“もしも君が戻ってきてくれるなら、ぼくの持ってるものは全部あげたっていいんだ まだ愛してるんだよ”

もう「現場」でどれほど聴いたかわかりゃしない情けない男のラブ・ソング。永遠のマスターピース!

 

WHEN I FALL IN LOVE

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コチラも「ゲンバ」では欠かせない大BIG TUNE。

『Mr. ROCK STEADY』収録曲。

 

ARTIEBELLA

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こちらもアルバム『Mr. ROCK STEADY』収録曲であるが、これはキャリア初期に録音されたSKAチューン。

10年代に入ってスヌープ・ライオンが、メジャー・レイザーが手がけたデビュー作『La La La』のサンプリング・ソースとして使用し、再評価された。

 

TRAIN IS COMING

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初期のヒット曲。95年にシャギーが映画『MONEY TRAIN』用に本人参加のもとリメイク。スマッシュHITを飛ばしている。

 

MOVING AWAY

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68年STUDIO 1からのヒット曲。リディム・トラックは後に何度もリメイクされる名作となり、特にガーネット・シルク『It's Growing』などに代表される90年代DIGITAL-Bからの一連がとみに有名。

 

JUST ANOTHER GIRL

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STUDIO 1からの2ndアルバム『More Of Ken Boothe』のオープニングを飾る名曲。

“君のことは愛してる。だけど、けしてぼくに取って「特別な誰か」にはなれないんだよ。わかっておくれ”

というリリックをあのマイナー・キーに乗せて切々と歌いあげるプレイボーイ・チューン。筆者は90年代のUB40のカバーも愛聴。

 

SILVER WORDS

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こちらも“KEN BOOTHEといえば!”の作品。70年代に入ってもROCK STEADYのスタイルで名曲は生み出されていたんだ、という紛れもない証左。

 

SPEAK SOFTLY LOVE

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現時点でのケン・ブース最新作であるアンプラグド・アルバム『Inna De Yard』のリード・シングル。

『ゴッドファーザー愛のテーマ』のレゲエ・カバー。

 

SPECIAL INTERVIEW

PAPA COJIE

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●COJIEさんにとって「KEN BOOTHE」とはどのような存在でしょうか。
 
レゲエ大学の学長。
 
●あまたのケン・ブースの名曲の中で、「今日の気分で一曲!」と言われたら何をチョイスしますか?
 
今日の気分は『Crying Over You』。
 
●MIGHTY CROWNでは数多くのケンブースのSPECIALを録ってきたと思いますが、これも「今日の気分で一曲!」と言われたら。
 
『Trying To Conquer Me』のオケで歌った『Ain’t No Sunshine』。
 
●読者にメッセージをお願いいたします。
 
全音楽ファン必聴のアーティスト。Mr. Rock Steady!!
 
Instagram:@cojiecrown
FaceBook:石井 功司
 
 

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NOW ON SALE !! 『Ital Mick - Jah Bless Her (7'') 』
 

IQ

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●ROCK STEADYの誕生には諸説ありますが、レジェンドKEN BOOTHEがどのような影響を及ぼしてると思いますか? 差し支えなければお考えをお聞かせください。

影響というか彼のファーストアルバム『Mr Rock Steady』が全てを物語ってる通り、アルトン(エリス)亡き今、Rock Steady = Kenと言っても過言じゃないでしょ! 当の本人はいつもMr.Steadyと呼んでくれと言ってます。
 
●前回はなんと20年ぶりとなる来日公演! ここだから話せる来日時のマル秘エピソードなどありましたら是非教えて欲しいです。
 
国内移動は「Bullet Train(※弾丸列車=新幹線)」がいいとずっと言うてましたね、はじめて乗ったときの記憶が忘れられないらしく、めっちゃ早いのに車内はとても静かで揺れないし、お弁当の移動販売までやってくるのに相当驚いたみたいです。新幹線では終止ご機嫌で売り子さんから買った甘栗むいちゃいましたに凄く感動してました。
先週話した時は、今回あの磁石でちょっと浮いてるリニアモーターカーには乗られへんのか!?と興味津々でしたが、まだ試験段階やとお伝えしました。乗りモノ好きなんでしょうね。
 
●プライベートな話題で恐縮ですが、IQさんといえば新婚で最近お子さんが誕生されたばかり! 奥様もお綺麗で羨ましい限りですが、「素敵な女性を口説くとき」に流したいKEN BOOTHEの曲といえば?
 
おっしゃる通り嫁も子も居るしそれでもええのなら『Just Another Girl』かな(笑)。
 
●今回はKEN BOOTHE70歳のメモリアルな来日公演! 今回のツアーを「100倍楽しむ」方法を教えてください!!
 
まあレコードとか持ってなくてもKen Bootheの曲はYouTubeなんかで聴けるし、あらかじめ色々聴いといてくれると良いんじゃないでしょうか。
知ってるのと知らないとではだいぶん思い入れが違うと思いますよ!
途中で挟む熱いMCも頑張って聞き取ってほしいですね、あとは毎回違う衣装とステージで見せる軽快なステップは見事です。出来れば前の方で見てください!
 
●読者にメッセージをお願いします。
 
70歳に突入してもまだまだ元気で現役バリバリのアーティストです。
当然ですが昔程、声に若さはありません。
しかし、時折見せる今のKENにしか出せない絞り出すような歌声は長年の経験に裏打ちされた、正に「いぶし銀」! JamaicaのSoulそのものです。
今回またCool Wise Manがバックバンドなんですが、前回Kenがすごく気に入ってヨーロッパも一緒に回りたいと言うぐらい息ぴったりなんで、間違いなく皆様を満足させる圧巻のライブになります!!
 
是非お越しください。
 
Twitter:@perverseIQ
Instagram:@perverseiq
 
 

DRUM AND BASS RECORDS
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NOW ON SALE !! 『PRINCE BUSTER / LET'S GO TO THE DANCE』
 

人生という旅の途中で

 66年のジャマイカからもうずいぶん長い時が過ぎた。その間にALTON ELLISJOHN HOLTなど、既に鬼籍に入ってしまったROCK STEADY期の偉人アーティストも多数存在する。

特に、JOHN HOLTとは仲が良かったようで、

「HOLTもこの世にいない今、日本にROCK STEDAYを伝えれるのは自分しかいない」

との思いで、KEN BOOTHEは前回の来日を決意したそうだ。

 

奇しくも、アルトン・エリス没後10年に当たる2018年、彼が再び日本にやってくることは、やはり“宿命”なのであろう……。

 

まぁ固い話は抜きにして、興味が湧いたら是非、彼の生の歌声を聴きに行ってみてはと思う。もちろん、とびきりのおめかしをして。大好きなあの子の手を引いて!

 

人はみな、旅をしている。その旅の途中に、素敵すぎる道草をしに行こう。

 

 Special Thanks to SANA.

 

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東名阪を含む、全国六ケ所を巡るスペシャル・ツアー! 詳細はDrum & Bassホームページをチェック!!

 

 

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【SOLO BANTON】

ライター / デザイナー。全国各地のフライヤーやCDジャケットをPOPに美しく彩る『ソロバングラフィック』代表。また音楽ライターとしても活躍し、特に日本のレゲエシーンにおけるトレンドを生み出す重要人物として広く知られている。

 

 

 

 

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