アルバム詳細

(not only) Two Sides

KZ   doiken  

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https://sd.reggaezion.jp/album/2331625
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アルバム・レビュー

大阪梅田、日本で 1 番多くラップしているサイファーがある。
間違いなくその輪っかは、 2017 年時点のフリースタイルブームの 1 つのマスターピースだ。

マスターピースを構成する要因として、数人の MC がいる。
その中のキーマンである「KZ」と「doiken a.k.a. Kenny Does」が 5 年ぶりに「KZ and doiken」で、アルバムをリリースする。

5 年前に FREE EP でリリースした 2 人の「Plain」は 10,000 DL を記録した。
後ろ盾や無駄な話題性を、いっさいまとわなかったシンプルな EP だった。
ただ、今からすればそれがいい結果となり、口コミで広がり続け
良識を多く持つリスナーと 2 人のコミュニケーションを生んだ。

その後、リリースしたお互いのソロの FREE EP も快く受け入れられた。
KZ 「For Whom the Bell Tolls」が 6,400 DL 、 doiken a.k.a. Kenny Does の「New Basic」が 5,100 DLだった。

この 5 年間、大阪の中心地から車で 1 時間半、 田舎と住宅街が緩やかに交わる地域の
高台にある DFBR というスタジオで、2 人はずっと以前と変わらずに曲作りをし続けていた。
HIPHOPゲーム特有の「早さ」とは逆に、 2 人はこの 5 年の間、ゆっくりとペンを確実に前進めた。
トラックは dio j と ONGR と GeckoTribe が並び、feat. はテークエム、ふぁんく、たまこぅ、 tella が参加した。
US を追従するサウンドが多いなか、「 Trap にはまらず」シンプルで強度の高い音楽を奏でた。

「勝ったや負けたが多すぎて 分かったふりで様子見してる 残念降りたよとっくにゲーム Loop の中でWalk this way」

形をかえ行く夢、それを待たずに進む現実、否応なしにやってきた卒業、誰にでもある就職、好きな女の子との結婚、
割り切れない離別や死別、切っても切れない家族、まだフロアに残る仲間、ほんとに多くのことを歌いきった 1 枚ができた。
数年後も聞けるフルアルバム、流行りの流れの外側で、普通の人生に輝くドラマ、 17 曲オールクラシック。

「マイクの前 希望と悲しみ in my hands おい まだ聞いてくれてんなら 俺達とお前達は今からだぜ」

鰻谷地下一階、中崎の高架下、河合の高台、土曜の歩道橋より愛を込めて。