「コロナの猛威が世界を席捲する中、2枚で一対というコンセプトで立て続けにアルバムをリリースした横須賀出身のレゲエアーティスト、RUEED。アルバムの制作秘話から、コロナ禍における自身のモチベーションまで、余すところなく語ってもらった。

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●アルバムタイトルの『K』なんですけど、どういう意味が込められていますか?

 RUEED:前作も『Q』で今回もアルファベット1文字なんで、つながりもこめてみんなにも「何なんだろう」と思ってほしいですね。あんまり断言してないんですけど、実は"QUEEN"と"KING"っていうのがメインの答えです。

 

●確かに、前作の『Q』の方が、女性に対する曲、今回の『K』の方が「自分がこういう風にやっていく」というアティテュードを示した曲っていう風に分かれてましたもんね。今回コンセプトアルバムを対で出そうと思ったきっかけはありますか?

RUEED: 曲がいっぱいできちゃったからですね(笑)。今年の初めのコロナが始まる前から、自分のスイッチが入りだして、アホみたいに毎日毎日曲を作ってました。一曲ずつ歌詞が完成したら、次の曲のトラック聴き始めるようなそういうモードに入ってて。それで曲の出し方を考えた時に、フルアルバムみたいに15曲、16曲入りっていう選択肢もあったんですけど、今世の中の動きとして「対立」や「分断」がプロモートされてるんじゃないかって感じてて、でもそういう時だからこそ逆に二作品だして、(アルバムのジャケットを二つ合わせると)真ん中がダイヤみたいになってるんですけど、そこがもともと一つだって表現できたらって、あえて二つコンセプトを設けて、分けるっていうのが自分でしっくりきたんで。そもそもは曲がたくさんできたっていうのがきっかけだっだんですけど、どうやって出そうかってなった時に自分の中で一捻りしたかったんで。

 

●さっきコロナの前に曲づくりのスイッチが入ったっておっしゃったんですけど、それにはきっかけってあるんですか?

RUEED:コロナが始まって人と会えなくなってそこからもう一個ギアが上がってるんですけど、でもその前から何かメラメラ燃えてましたね。それって自分でも予期できないんです。創作活動の中で、自分のアーティスト活動の中でも2回、3回しか来てないようなゾーンみたいに自分で入ってました。

 

●コンスタントに活動していますが、そういう風にできるマインドはどこから来るんですか?

RUEED:自分の中でメラメラ燃えるものは常に感じてて、それを放つポイントを探ってますね。溜まっていたエナジーが今回のアルバム『Q』と『K』で放出されました。

 

●先ほど『』と『』は先に曲がたくさんできていたのを、アルバムごとに分けたとおっしゃっていたんですけど、コンセプトができてから作った曲もありますか?

RUEED:そういう曲もありますね。だけど導かれるようにそういう風になっていったというか。すごく自然体で、自分の周りと仲間とかと作れたアルバムだなって気がしてますね。MASTERMINDを立ち上げてから、初めてのアルバムがこの二枚なんですけど、こんないい状態でアルバムを二枚も出せて、自分の中ですごく気持ちがいいですね。

 

●ちなみにコンセプトを決めてから作った曲はどの曲ですか?

RUEED:『Q』では"FOUND YOU"かな。『K』だったら一番最後に出来た"GUIDANCE"ですね。アルバムの中でも"HARDCORE"だけは10年前の曲なんです。

 

●その曲を『K』に入れようと思ったのはどうしてですか?

RUEED:StarBwoyWorksのNUTZくんと一緒にスタジオで作業している時に、昔の曲を聴くタイミングがありまして。そこで出てきたのが"HARDCORE"の原型ですね。撮り直そうとも思ったんですけど、NUTZくんが今風にmixし直してくれましたね。アルバムは今の自分を映し出すものだと思うので、10年前の曲を2020年のものに入れるっていうのはかなり悩んだんですけど、直後の"REMEMBER"っていう曲のメッセージも含めて、昔の俺のイケイケな意気込みをあえて入れようって思いました。大々的に昔の歌っていうのは言ってないんですけど。

 

●アルバム『K』に対する思い入れを1曲ずつ聞かせて欲しいです。まず”SEE ME NOW"から。

RUEED:自分たちは『Q』も『K』もloveを発信しているつもりなんですけど、でもすごくイラついている時にできたバースを入れてますね。そのイラつきすらもじぶんたちは歌うことでアウトプットできるから、俺の中の怒りの一つの形ですね。

 

●2曲目の”EVERYDAY"はどういう思い入れがありますか?

RUEED:仙台のYARZっていうサウンドの中に歌い手でMIONって奴がいて、そいつトラックも作ってて結構多彩なんですよ。いつか一緒にやろうねってずっと言ってて、やっと形にできた1曲ですね。ボブの言葉で「バビロンは1日も休まずに俺たちを貶めてくる」っていうリリックがあるんですけど、それだったら俺らも1日も休まずにラブを発信して、自然体で仲間と楽しむっていう内容を歌ってます。

 

●3曲目の"TURN ME LOOSE"についてはいかがですか?

RUEED:これは仲間からの紹介でKING OF SWAGのDeeくんを紹介してもらった時に、せっかくだしなんか一緒に作ろうよってなってできた曲です。理貴っていうビートメーカーに、踊れて、でも俺のリリックもしっかり入ってくるようなトラックが欲しいってお願いしてビートも作ってもらいました。あまりジャンルにこだわりすぎたくなくて、垣根を飛び越えたいというか。そういうことをDeeくんとやれてよかったですね。

 

●理貴さんも基本的にはHIPHOPのビートメイカーですもんね。4曲目の"GUIDANCE"はどうですか?


RUEED:今はダンスホールで女の子と踊るっていうのはなかなかできないんですけど、女の子がこうしてきたら男はこう対応するというスタンスを表現するダンスホールナンバーですね。

 

●そうですね。すごく踊れる曲だと思いました。

RUEED:QUEENを守るのがKINGだし、QUEENが求めているものをあげるのがKINGですね。

 

●ちなみにRUEEDさんが思い描く理想のダンスホールの男像っていうのはありますか?

RUEED:これっていうのはないですけど、自分がダンスホールで理想でいようとはしてます。あんまり酒のみすぎてぶっ壊れてるところ人前で見せないようにとか。理想の男としては、それぞれでいいなと思いますね。powpowしているヤツも必要だし、サウンドシステムの前で腕くんで渋く乗ってるおっちゃんもカッコいいし、バーカン前で女口説いてお酒おごりまくってるヤツも必要だし。自分が理想のダンスホールの男でいたいっていうよりは、みんなで理想のダンスホールを作れたらと思います。

 

●5曲目の"EVERYTHING GOOD"について聞かせてもらえたらと思います。

RUEED:これは一人でトリップして、自問自答しているような曲です。今バビロンがみんなの不安をやたら煽ってくる時代になってると思うんですけど、自分の周りさえラブで溢れてたら、バビロンのやってくる事も関係ないし、その中で腐っちゃうのはあまりにも思惑通りすぎちゃうなっていうののは感じています。EVERYTHING BADに感じている人もいる中であえて逆をとって"EVERYTHING GOOD"っていうタイトルにしました。

 

●6曲目の"GET HIGH"なんですけど、これはガンジャチューンですか?

RUEED:自分の好きなものに置き換えてもいいし、各々の判断に任せようかなと思っています。

 

TAKABOさんとは初めての曲づくりですか?

RUEED:この歌も凄く前からあるんですよ。本当はTAKABO名義で出そうかって話もあったぐらい。TAKABOとも長い知り合いでこの曲の他にも何曲があるんですが、一番思い入れが深い曲ですね。今回ようやくちゃんと楽曲としてリリースできるってことで俺もTAKAも喜んでます。

 

●ちなみにTAKABOさんとの出会いについて聞かせてもらえますか?

RUEED:俺が福岡にライブしに行った時に出会ってるんですよ。同い年なんですよって言われてすぐ仲良くなって。出会った印に蛇送るよって言われたのは断ったんですけど(

笑)。それからあいつが東京きたりとか俺が福岡行ったときに遊ぶようになってどんどん仲良くなりましたね。初めて会ってからは8、9年かな。ちなみに1回この曲は別のトラックで本録りしてるんです。

 

●結構アコースティックなトラックですけど、前のトラックもそういう感じだったんですか?

RUEED:そうですね。そっからちょっと改良して、コードも変えて、今の形になりました。

 

●7曲目の"HARDCORE"について聞かせていただいていいですか?

RUEED:10年前の俺がいっちょまえに「10代に初めて入ったBooth あれから何年何度目〜」とか歌ってるのが俺的に面白くて。まだまだ長いだろ的な。

 

●RUEEDさんキャリアが長いですもんね。では最後の曲"REMEMBER"はどういう心境で作ったものですか?

RUEED:導かれるように作りました。音を具現化してくれたのはDIAMOND NUTZで、きっかけをくれたりディレクションしてくれたのはTONZILLAです。

 

●歌詞にもDIAMOND NUTZさんとTONZILLAさん出てきますもんね。

 RUEED:『K』の中で一番言いたいメッセージが入った曲ですね。今のメディアって大事なものを忘れさせようとして、どうでもいいこととかがどうなったかを知りたがるようなやり方をさせられていると思います。カンのいい人たちはメディアのやり方があからさま過ぎてそれに気づいて鼻で笑っていると思うんですけど。だけどそれに対して「違うだろ!このやろう!」って怒るのではなくて、「俺らは俺らのやり方で」ということを思い出してもらえたらと思っています。

 

●ちなみにアルバムの中で推し曲ってあったりしますか?

RUEED:通して聴いて欲しいんですけど、『REMEMBER』は特に聞いてほしいですね。

 

●RUEEDさんはSNSでも政治や社会情勢に対する発言が多く見られますが、そういうことに関心を持ち始めたきっかけとかはありますか?

RUEED:多分兄貴かなあ。兄貴のことをメディアが追いかけていて、自分の家に戻ったら何十人もカメラマンがいて、勝手に写真を撮っているっていうことがあったんです。それを見た時に「なんだこいつら」って思ってしまって。TVだからそれっぽく見えているだけであって、見たいものを見ようとしているだけってことに子供ながら気付いてしまって。当時兄貴もそういうことを教えてくれていたし、自分でもそういうことをどんどん調べるようになったことがきっかけですね。

 

●今のコロナの状況についてはどういう風に感じていますか?

RUEED:俺は「人々を貶めるキャンペーン」の一つかなって思っています。コロナの裏には何かがあるとは思いますけど、それを気にして手の届くものでもないなら、どうやって接していくのがいいのだろうとは考えていますね。「クソ野郎!」っていうのが最後のメッセージにならないようにはしています。

 

●裏に何かあるからそれに対して非難するのではなくて、裏に何かがあるから「どうやって動いていこう」って考えるのがRUEEDさんのスタンスなんですね。今回『Q』も『K』もコロナ期間のリリースだったんですが、リリース時期を迷われたとかそういうことはありましたか?

RUEED:一瞬は考えましたけど、こういう時こそ音楽が必要だと思いました。ライブができないからプロモーションとしてはやりづらいんですけど、離れててもリモートでインタビューも受けられるし仲間に連絡することもできる。そういう状況なら、音楽もたくさん作っているんだし、みんなに届けようと思ってこの二枚をリリースしました。

 

●このコロナが明けたら音楽シーンはどういう風になっていくと考えますか?

RUEED:このコロナの時期で中途半端な奴はさっさと辞めると思いますね。だからアフターコロナで続けている人は「本当に伝えたいメッセージを持っているアーティスト」だと思います。そういうアーティストが平気な顔で続けていくんだろうなって。


●コロナ期間はどういう風に過ごしていたんですか?

RUEED:ひたすら制作してましたね。人ごみの中に出ることはしなかったけど、仲の良い友達とは会ってました。友達と会って、制作してっていうルーティーンを毎日繰り返してましたね。


 ●では質問を少し変えて、RUEEDさんは他ジャンルとクロスオーバーするような作品をたくさん作っていると思うのですが、そうするようになったきっかけとかはありますか?

RUEED:俺たちの世代はハイブリットで。めちゃくちゃレゲエが好きで、オタクみたいな部分もあるんですけど、洋邦問わずラップもレゲエも歌謡曲も聴いていて、それで自分のスタイルが出来たので。


 ●今回の『K』の”EVERYDAY”や『Q』の”CALI"のMVには英語の字幕を付けていますが、理由を聞かせてもらいたいです。

RUEED:やっぱり出来るだけ多くの人に伝わるようにですかね。USの人たちも含めたくさんの人が聴いてくれたら嬉しいっていう単純な理由ですね。


 ●リリックを書くときのこだわりはありますか?

RUEED:情景が思い浮かぶような歌詞が好きですね。情景が思い浮かぶって相手に任せてるっていうことでしょ。「橋の上で待ち合わせ」っていう歌詞でも、その歌を聴いた人が思い浮かべる橋っていろんな橋があるし。そういう聴く人の余白がある歌を作りたいですね。その余白が聴く人が行動するきっかけになることもあるし。結局僕たちがやってることは「種をまく」ことなので、その種をどうやって開花してくれるかはあなた次第ですよっていう。


 ●トラックメイカーを選ぶ基準はどういうものですか?

RUEED:この曲だったら、あいつだなっていうのはありますけど、今回の『Q』と『K』に関しては自然体で制作ができるメンツを選びました。気張らずにできるので、俺が持ってきたリリックからワンバースまるまる変えたのもあるし、実験的なこともできる、磨きあえるメンバーですね。


 ●なるほど。TONZILLAさんとはYouTubeの動画で慣れ初めを知ることはできるんですが、StarBwoyWorksさんとはどういうきっかけで知り合ったんですか? 

RUEED:StarBwoyWorksも12、3年前から知ってますね。いろんなディレクションもしてもらえるし、そのディレクションを素直に受け止められてやりやすいですね。


 ●具体的にどういうディレクションがあるんですか?

RUEED:歌唱方法よりは、曲の構成とかそういう内容ですね。今回の『Q』と『K』に関しては構成やサビをすごくシンプルにしている曲が多いんですけど、そういうのはNUTZくんのディレクションですね。現代の人間は集中力がないと言われていて(音楽業界の)流れとしてリリックの文字数や曲の分数が短くなったりしているので、そういう人たちをどうロックするかっていうのも考えてますね。でもそれって簡単そうに見えてすごく難しいことなんです。「愛している。なぜなら〜〜〜〜」でたくさん説明することで、本当に愛していることが伝わると思うけど、愛していることを二行で説明するのはすごく難しいじゃないですか。そこがすごく面白いなって思いますね。曲が短い分、ワンフレーズ、一小節の言葉の重みがすごくあるので、リリックが少ないからメッセージが少ないわけじゃないということを再認識しました。


 ●RUEEDさんが歌い始めた時は、サブスクリプションの音楽サービスはなかったと思うんですけど、そういうサービスが出てきてから何か変わったことはありましたか? 

RUEED:曲づくりに関しては変わってないですけど、いい点はいろいろ見出してます。毎月定額を払ってただひたすら消費される音楽と思われるのは嫌ですけど、その分毎日聴いてもらえることが、アーティストのバックになるのはすごくいい部分だと思います。でも結局俺はアナログ派なので、「めっちゃ好きなアーティストのアルバムが出たから、発売日に買う」っていうのは本当はいいなって今でも思います。今回『Q』と『K』はデジタルで先行リリースなんですけど、時間差で二枚組のアルバムをリリースすることになると思います。CDを聴ける人も限られているとは思うんですけど、本当に好きな人に手に入れてもらえたら嬉しいです。


 ●今はサブスクリプションの音楽サービスで簡単に聴けますけど、私が音楽を聴き始めた時は、発売日にTSUTAYAに自転車を漕いで買いに行って、歌詞カードを見ながら聴いてましたからね。今思い返してもやっぱりそれはすごくいい時間だったなって思います。手元に置いて大事にするのは今の時代でも大事ですよね。

RUEED:それの良さを知ってる人は伝えていくべきだと思います。今生まれてきた子たちはわかりゃしないんで(笑)。


 ●RUEEDさんは「生」っていうことにこだわってるっていうのが今のお話でも印象的なんですけど、去年のライブの動画をYouTubeで無料で公開されたのはどういう意図があるんですか?

RUEED:もともと多少なりともお金を払って見てもらうつもりで編集してたんですけど、今いろんな町にライブに行くということも難しい状況になってしまったので、アルバムが出るタイミングでもあるし、みんなに見てもらおうと思って公開しました。やっぱりライブはライブでしか伝わらないので、映像だけでは100パーセントは伝わらないんですけど、何かしらを感じてもらうのが大事だと思いますね。少しでも元気になってもらったり、RUEED「のライブ始まったら行こう。」とか、「新しい作品ではどんなこと言ってるんだろう。」とか。そうじゃないとネガティブなニュースや馬鹿らしい話題ばかりが耳に入ってくるし、誰かが不倫したっていう話題より、RUEEDのライブの何曲目がやばかったっていう話をしてもらいたいと思います。


 ●最後に読者さんに伝えたいことをお願いします。

RUEED:この世界をひっくり返そうとかじゃなくていい、得体の知れない奴らの命令でまんまと仲間割れや対立をすることなく、自分の仲間や家族にラブを伝えあうっていうのが大事だと思います。それをみんなでやれば勝手にラブで溢れるはずなので。それを知ってほしいです。そのための種を『Q』と『K』にこめたので、そのメッセージをキャッチして、自分なりの水をあげて育てていってほしいです。


 ●私も周りの人に愛を与えるところから始めていきたいと思います。そうすることによってポジティブなバイブスが伝染していくと思うので!

RUEED:みんなでそっちに感染してきましょう!


Mastermind Live 2020 Online 2020 / 11 / 8 (sun) Start 20:00〜 RUEED Official YouTube Channel より独占生放送‼︎

https://www.youtube.com/channel/UCSyCr6ljMwDak2vRRtexw-A