■Text / photo OKAMAI (https://www.instagram.com/okamai_ja/)
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早朝のMasicka,Jahshii,SKENGなどのパフォーマンスの余韻も冷めないまま会場に着いたのは夜10:00ごろ。SUMFEST最終日のショー。前日ステージの前から後方のフードコートに行くのがぬかるみと行列でしんどかったため先にブースを見ることにした。各スポンサーのブースが設置されブース内でもイベントや大プレゼント大会が繰り広げられている。

PEPSIブースではサングラスを配っていた。SUMFESTのオリジナルグッズやGUINESSビールブースでは新商品SMOOTHの試飲会もあった。各ブースをチェックするのも楽しく、毎年オリジナルグッズ配布やゲーム大会、バンドチェンジ時のパーティー会場として盛り上がる。

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10時ごろスペイン人レゲエアーティストでジャマイカ在住10年のIrie souljah やジャマイカの大学で国家安全保障と戦略研究を最優秀成績で学び、カントリーシンガーになった自衛隊勤務、見た目は日本人のWESROC などもパフォーム。(ダンサーとしてhotta manamiも出演)昨夜はメキシコ人レゲエアーティストJah Fabioも出てSUMFESTは国際的でいつか日本人アーティストもこの大ステージで見れるかと夢も膨らむ。

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Jada kingdomとの"Feeling"がヒットしたD'Yaniは、人気ダンサーをステージに呼び小道具として使われたシャワールームの中で蒸し風呂の中で踊らせた。こういう派手な仕掛けもSUMFESTならでは。
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歌唱力で魅せつけたshaneil muirの後の長いバンドチェンジで出てきた老若男女問わず大人気のBeres Hammondの登場は会場全体が爆発した瞬間だった。"love means""Rock away""play some more"など数々のビッグチューンで会場全体が歌いコーラスと化した。途中新曲"wi de yah"でwicker manとのコンビ曲も披露。ベレス専属のHarmony houseバンドとベレスのレゲエ国宝級音楽最強タッグは大喝采のまま幕がおりた。

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グラミー賞受賞のKOFFEEはジャマイカでやるのはかなりレアで、比較的短いキャリアの中で成功した一人だが、あまり知られてないアルバムの曲には会場は熱中していなかった。"rapture""raggamuffin""west indies""pull up"そして"toast"では観客が釘付けになった。ハードスケジュールの中ジャマイカに立ち寄った形となったKOFFEEはそのままトロントでのショーに飛び立った。

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"Digicel rising stars"という一般オーデション番組に出場し優勝。デビューする前からジャマイカ国民を沸かせ素晴らしいキャリアを永年築いてきChristopher Martin。国民人気アーティストはアカペラも交えつつヒット曲を連発、そして今行方不明になってる女性と先月4人の子供と殺害された母親に敬意を払うよう、女性に対する犯罪を認め変化を観客に呼びかけ社会派コメントを散りばめたセットで会場を沸かした。

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今回明らかにアーティストのショーを待ちわびて始まる前から立ってスタンバイし、ステージの前に女子が押し寄せ身動きが取れないくらいの大人気だったのはDexta Dapsだ。
モンテゴ・ベイの日の出と大歓声とともに、オレンジの囚人用ジャンパーに手錠をかけられ、警察に拘束されたというニュースを背景に偽警官チームに連れられてセンター・ステージに入ってきた。頭には黒いハンカチが巻かれている。サンフェスファンならわかるはずだが2010年のバイブスカーテルのサンフェス登場と全く一緒だ。"FREE kartel "と叫ぶと観客は勢いよくそれに従って音量は増した。12年前、バイブス・カーテルは警察の拘束から解放された直後、サンフェス・ダンスホールナイトに出演した。ガザのボスである彼は、自身の試練をステージで再現してファンを熱狂させ、「ガリーとガザの結束のメッセージを伝えた」と称賛されたのだ。

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すぐに囚人服を脱ぎ捨て、いつものぴったりしたパンツと長袖のシャツに着替えセクシーダンスホール帝王全開。生のダンスホールとスムーズな歌詞とフローをバランスよく組み合わせた彼独特のスタイルでパフォーマンスを繰り広げた。毎回全力でサンフェスをこなすDexta,今回も女性ダンサーやIkaya,そして"Call me if "の本歌”Gangalee"を歌うルイカルチャーもステージに呼び数曲披露。会場全体を熱狂の渦に巻き込んだ。

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今年のSumfestのハイライト、Dave kelly (Mad house)トリビュートを誰もが待ち望んだ。80年代、90年代で最も人気のあったプロデューサーであるデイブケリーに敬意を表し、集まった
cham、wayne wonder、bounty killer、frisco kid、mr easy、spragga benzの7人のアーティストたちは歴史的なパフォーマンスを披露した。ダンスホールファンの多くは彼のユニークなリディムもおかげで当時若手だったアーティスト達は才能を発揮できたと言っても過言でなく、ダンスホールアーティストとして羽ばたくことができたのを知ってる。時を経て、今現在ダンスホール界の大物となったアーティスト達が自分のキャリアに彼がもたらした手腕に感謝の意を示すために集まり1時間の歴史的ステージが始まった。

frisco kid

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Mr eazy
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cham
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spragga benz
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wayne wonder
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7人が3本のマイクを交互に使って"medicine" ”Bruk Out”、”Stink”、”Fiesta”、”Haunted”、”Murderation”"Joy ride"などの歴史的リディムで交互にアーティスト達がマイクを回す。どのリディムも始まるとすぐメッセージがフィットする90年代にタイムスリップ、それに伴う豪華なパフォーマンスにファンは朝7:00なのにも関わらず大興奮だった。

バウンティ・キラーがステージに上がると、それはもう熱狂的なものだった。彼の突き抜けるようなボーカルが有名なリディムに乗って、多くの人がダンスホールの最盛期と考える時代を完璧に再現していた。”Can't Believe Mi Eyes", "Poor People Fed Up", "Look Into My Eyes "などの時代を超えた楽曲を披露した。

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キング・オブ・ダンスホールのビーニーマンは目立ちたがりバイブス旺盛でエネルギッシュなパフォーマンスの中で3回も衣装替えをし、"Ole Dog "や "Wickedest Slam "などの定番の曲を披露。次の日SNSでも僕はダンスホールキングでファッションゴッドだ!と本人書いてた。

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Chamは"Vitamin S"、"Ghetto Story"、"Joyride "などの名曲を完璧に披露し、観客を熱狂的にジャンプさせることにも成功。
spraggaは今日がエチオピアのセラシエ皇帝の誕生日でもあるのでMCで敬意を払った。
ステージ上のすべてのアーティストの仲間意識には驚いた。スムーズにリディムを乗りこなし素晴らしいパフォームが目まぐるしく広げられたのだ。
ぜひ、Youtubeでノンストップで見て欲しい。(sumfest のyoutube チャンネル:https://www.youtube.com/watch?v=EvKb5VjRhW0


ボンティキラーとチャムはデイブケリーがプロデュースした近日発売のEPから『BLOOD CLXXT』というタイトルの曲を初披露し、島で起こっている無差別殺人を考えると、今こそ「ブロックラー」という絶好の機会だと宣言した。バッドワードがNGのSumfestで、観客は彼らが警察から告訴されるかもと心配した時でさえチャムは「彼らは俺らを逮捕しない!」と笑って会場から拍手と「ブロックラー」と歓声が上がった。最近、元政府大臣が金融詐欺行為に関与していることも叫んだ。

ボンティキラーが最後にダンスホール音楽制作の中心人物であるデイヴ・ケリー氏への「温かい感謝の気持ち」を観客に求めた。「今朝は、ここで演奏する僕らアーティストにとって、とても特別な朝だ。 この兄弟、この男は音楽的に多くの魂に触れてきたし、肉体的にも音楽的にも我々のキャリアすべてに触れてきたんだ」と。最高に素晴らしい歴史的なパフォーマンスだった。
ちなみにデイブケリー本人は、最後までステージに上がって賞賛を受けようとはせず、ステージ横に残ってショーを楽しんでいた。

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朝8:00ごろ雲行きが怪しくなり、雨が降り出しそうな気配が漂う中、Sizzla登場。ハイエナジーなセットのほぼ中盤、雲が割れて祝福のシャワーが降り注ぐ。12時間耐久レースの疲労と悪天候により会場を去る人も多数。最後まで残ることを決意した人たちがずぶ濡れになるまで演奏を続けた。”Take Myself Away”の演奏にのせて、シズラはステージを降りSUMFEST2022は幕がおりた。前編後編と今回紹介していたSUMFEST,この時期にジャマイカに旅行するのをオススメします。来年は会場で会いましょう!(2023年7月21、22日予定)

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OKAMAI

ジャマイカ在住14年のコーディネーター、ライター、ダブ屋、日本ツアーアーティストブッキングエージェント,ジャマイカでのツアーガイド。旅好きで行った国60カ国 "危ない世界の歩き方 危険な海外移住編""まずは行動する人がうまくいく”著者。 https://www.instagram.com/okamai_ja/


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