interview & text : Seira Yonamine, Masaranxx
協力 : BEBBLE MUSIC/24x7 RECORDS
作品詳細 : https://247reggae.com/releases/the-kalling/
現在のジャマイカ&レゲエ・リヴァイヴァル・ムーヴメント世代を代表するラスタ・アーティストKABAKA PYRAMID(カバカ・ピラミッド)。2022年9月30日に待望の新作『THE KALLING 』が登場。前作に続きDAMIAN ‘Jr Gong’ MARLEYプロデュース、GHETTO YOUTHS INTERNATIONAL, BEBBLE ROCK MUSICよりリリースされた。
自身のキャリアであるレゲエ&ダンスホールとヒップホップを合体・融合させてきた鋭角かつ多様なスタイルをさらに進化&深化させた最新作。
数多くのフィーチャリング・アーティストを迎え、幾つかの名曲をサンプリングに使用することでその音楽性と表現に広がりを与えつつ、現在の社会と世界に向けたコンシャスなメッセージが強く存在したKABAKA PYRAMIDならではの最新作。
『THE KALLING』は「Rastafari Call You」から派生した造語。敬虔なラスタファリアンであるKABAKA PYRAMIDは今回のリリースに向けて以下の通りコメント。
「金持ちになることや人気者になるためではなく、聴く人により精神的な高い波動(Higher Vibration)を想像させることを意識、自分の目的として音楽の旅を続けている。多くの人達は自身の快楽や満足を追求しているが、それよりももっと高い精神性や意識を持つことでこの世界の歪んだバランスを正すことを求めている人達もいる。それに応えるべく音楽の旅を続けている。このアルバム全体でそれに応えてみせている。DAMIAN MARLEYの一流で多様な制作と共に自分のソング・ライターとしての成長も確認してもらいたい。最初から最後まで簡単にスキップできる曲は一曲もない。自分の音楽の旅に導かれてもらいたい」ー。
●2018年のデビュー作『KONTRABAND』以来となる新作『THE KALLING』は4年ぶりとなる作品ですが、この4年間で世界は大きく変わり激動の時代になりました。ご自身にとってこの4年間はどういったものでしたか?
Kabaka Pyramid(以下、Kabaka):ロックダウンの期間は殆どはジャマイカにいて、制作の際はマイアミのダミアンのスタジオで過ごしていたよ。ジャマイカはマイアミと比べて規制が厳しくて大変だったけど、それを乗り越え素晴らしい作品を作ることができたんだ。アーティストは常にスタジオに居て制作活動をしているから、実際はロックダウン前と後での生活は変わらなかったんだ。
一方で世界は様々なことが変わっていて、そのことがすごく興味深く感じたよ。
●『THE KALLING』というテーマを元にアルバムを制作しようと思ったきっかけを教えてください。また造語であるタイトルの元になっている"Rasta call you"という意味を教えてください。
Kabaka:『THE KALLING』というタイトルにしたのは意義を感じたからなんだ。
自分たちがやっている音楽にはネガティブに対抗しポジティブなヴァイブレーションに変換することができる。みんなそれぞれの"THE KALLING"を持っていて、自分はそれが音楽でラスタファーライの表現なんだ。ボブ・マーリーやピーター・トッシュの頃からラスタのことを見ていれば分かると思うけど、「ラスタファーライ」はいつでもヴァイブレーションをポジティブな方向にシフトしてきている。
そしてラスタの生き方を実践することによって人々に希望を与えることが出来る。それが「Rasta Call You」ということなんだ。
●本作は豪華な客演が話題ですが、アルバム全体を通してのキャスティングについてお伺いしたいです。また各アーティストとの制作秘話などありましたら教えてください。
Kabaka:客演に関しては様々なストーリーがあるよ。本作についてのアイディアを考えていたときスティーヴン・マーリーをどうしてもコーラスに入れたかったんだ。
ある日、キマーニ・マーリーのコンサートがFort Lauderdaleであって、そのコンサートにプロトジェとジェシー・ロイヤルも出演していたんだ。その日はちょうどスティーヴンのコーラスの録音を予定していたから、彼らをスタジオに招待したんだ。そうしたら彼らはスタジオで曲を書き始めて、バースのデモを録音したんだ。それは予定していた事じゃなくて、突然起きた事だったんだ。すごくミステリアスな出来事だったよ。
他にも色々ストーリーはあってJemere Morgan, Answele, Black-Am-I達はファミリーでいつもスタジオで自分とダミアンと一緒に制作活動をしているんだ。いいハート、スピリットそして素晴らしいアーティストと制作をするのはいつも楽しいよ。
●本作を通じて様々な音楽のジャンルからインスピレーションを感じたのですが、普段どのような音楽を聴いてインスピレーションを受けていますか?
Kabaka:最近は色々な音楽を聴いてインスピレーションを得ているよ。オールド・スクール・ヒップホップやシズラ, ピーター・トッシュ, BLACK UHURU, INI KAMOZE, スーパー・キャット、あとアフロビーツもよく聞いていて、メロディーからインスピレーションを受けているよ。
あとは読書からもインスピレーションを受けている。他にも、音楽以外で色々なものからインスピレーションを受けている。ライフそのものだね。
●楽曲「Addiction」の中でSNSやオンラインショッピング、砂糖についての中毒性に対して警鐘を促していますが、ラスタのライフスタイルを通して現代人にそれらのアディクションから抜け出すために必要なものを教えてください。
Kabaka:ラスタのライフスタイルは自然、自分と向き合う事なんだ。まず、最初に大事なのはセルフ・アウェアネス(目醒め)で、その事を自分たちは「コンシャスネス」と呼んでいる。
自分がコンシャスになったら、自分の生活習慣を見直すことになる。そしてラスタというと食生活というトピックが上がってくる。多くのラスタはアイタルを好みヴィーガンで動物性製品を摂取しない。
ラスタはいつも健康のことを考えていて、自分たちの舌や食欲を満たす為だけの食事はしない。だから自分の健康を考えたときに、砂糖を減らすことはすごく重要なことだと言っているんだ。
そして、ラスタはシステムと同調しようとはしない。なぜならシステムはテクノロジーを通して自分たちを滅茶苦茶にしようとしている。ラスタはいつでもシステムに対抗する存在なんだ。システムが自分たち対して良いものだと言ってくるものに対して、ラスタは自然の中に答えを求めているんだ。だからラスタは自然の中で過ごし自分と向き合うことを好むんだよ。
これらのこと真摯に考え行動していると、携帯電話を見る時間やオンラインショッピングに費やす時間をコントロールできるようになるはずだ。
スピリチュアリティーや自然に勝るものはないんだよ。
Kabaka:すでにこのインタビューを通してラスタの哲学について話してきたが、自分たちには人種や国、文化を超えた固い結束が必要なんだ。
このことをスピリチュアルな視点で真に理解することで、戦争や争いごとや、経済的な支配も無くなる。なぜなら大いなる視点で見た時、自分たちは兄弟であり姉妹だからだ。これがラスタファーライが伝えようとしている真意なんだ。
みんながこのように考えれば世界は変わるはずさ。
Kabaka:ヴァイブレーションを保つために、目覚めたら直ぐに思考をするようにしている。何をするよりまずは色々考えを整理したり瞑想するんだ。寝る前も同じなんだ。自分の外で起きていることをコントロールしようとするのではなく、自分の内面と向き合いチューニングするんだ。
あとはヨガや運動もするよ。体を動かすことはストレスを緩和してくれるし、いいマインドをキープするのにとても大切なことなんだ。
●最後に日本のファンにメッセージをお願いします。
Kabaka:日本のすべてのファン達をBIG UPしている。そしてまた日本でパフォームするの楽しみにしているよ。自分は日本の人たちがレゲエという音楽に真の理解を示していることについて、本当に感謝をしているんだ。そしてこの場を借りてOKAMAI, OGA (JAH WORKS), Mighty Crown そして、すべてのレゲエミュージックをサポートしてくれている人たちをBig Upしたい。