関東を拠点に活動するアーティスト・Hibikillaが、プロデュース作『Crab inna Barrel Riddim』をリリースした。日本各地から集まったアーティストたちが共通のリディムで楽曲を披露する、“ワンウェイ”スタイルのコンピレーションアルバムだ。

タイトルの「Crab inna Barrel」は、ジャマイカのことわざに由来する。狭い樽の中でカニたちが互いに足を引っ張り合い、誰も外に出られない──そんな比喩は、現代社会にも通じる感覚としてHibikilla自身が実感を込めて選んだもの。「みんなで楽しいことを広げていく感覚こそ大事」と語る。

現在のダンスホールを、Hibikillaは“ジャマイカ音楽の3つの波”という自身の理論で捉える。スカ=ハイエナジーなダンス、ロックステディ=歌謡的メロディ、ダブ=ヘヴィかつ瞑想的なベースミュージック──という3つの中で、今はダブ的なサウンドが前面にあるフェーズにあると語り、SKILLIBENGやMASICKA、VALIANTらを例に挙げながら、この“波”がいま確実に世界で来ていると指摘する。

爆音再生を前提とした構造、低音域の支配力、空間処理の妙といった“トラップダンスホール”の特徴は、そのダブ的フェーズの象徴でもある。Hibikillaはそうした潮流を捉えつつ、日本のリスナーにも届くよう“歌もの”を多く取り入れ、絶妙なバランス感覚で作品を形にした。


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中央にKOTA & Hibikilla、周囲を左上から時計回り:YAMATO HAZE 、CORN HEAD、TAMAZO、MOYA-C

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中央にADACHIMAN、周囲を左上から時計回りに:Jilly、Aaayah、BLUE BWOY、TAKE-ROLL


参加アーティストには、若手からベテランまで全国から多彩な顔ぶれが集結。プロデューサーとしてのHibikillaは、ベテラン勢には“お題”を提示し、若手にはあえて自由に作らせるという方法で挑んだ。型にはめず、だが確かなコンセプトの中でアーティストの魅力を引き出す手腕が光る。

西東京のプロデューサー・ymxkが手がけたクールなマイナーコードで構成されたリディムファフィーチャーされた今作は、SpotifyやApple Musicでクロスフェード、Automix再生すればDJミックスのようにも楽しめる仕様。音質面にも妥協はなく、信頼するONODUBによるミックスは、一度スタジオで完成させたものを所沢にあるClub Fettiのサウンドシステムで再ミックスを行い、最適な "鳴り" に調整したという。Hibikilla曰く「スマホでもいいけど、できれば爆音で聴いてほしい」。

アートワークは、ジャマイカ出身で日本のアニメ文化に影響を受けたピクセルアーティスト・Kxrly Miyagiによるもの。サウンド、思想、ビジュアル──すべての面で“今”のダンスホールと対峙した作品が、ここにある。




『Crab inna Barrel Riddim』収録曲



  • KOTA & Hibikilla - I just thinking about
    山梨県出身の25歳R&Bシンガー。TikTokでの注目を機にHibikillaが直接スカウト。繊細な歌声とグルーヴでリード曲に抜擢しMVも公開。
  • Corn Head - TOKYO
    神奈川のベテランによる、洗練された“東京讃歌”。アフロビーツを参考にしつつ、クールで力強い楽曲に。
  • TAMAZO - AKIRA
    静かだが強く響くメロディと空気感が魅力の東京の若手アーティスト。Hibikillaからも厚い信頼を寄せられる存在。
  • MOYA-C - Big Money
    普段はスラックネスで盛り上げる彼だが、今回はシリアスなテーマに挑戦。キャリアの転機的な曲。
  • Hibikilla & YAMATO HAZE - Crab inna Barrel
    アルバムタイトル曲。沖縄のYAMATO HAZEと共に、ルールに縛られず楽しさを見つけろというテーマを描く。
  • Jilly - Underwater
    京都で活動する女性シンガー。歌謡曲・シティポップ感のあるメロウな楽曲がアルバムにアクセントを加える。
  • BLUE BWOY - Odorow
    大阪の若手注目株。Trap Dancehall時代の現代的なフローとセンスが際立つ。
  • Aaayah - Wet
    “Ayakohimé”名義でダンサーとしても活躍するマルチタレント・シンガー。ダンスホールならではのきわどいテーマに挑戦。
  • ADACHIMAN - Tight Pvn4nny
    実力派のベテランに“思わず笑っちゃう下ネタ”をリクエストして誕生。スラックネス・チューンの真骨頂。
  • TAKE-ROLL - Pull Up
    栃木県は宇都宮拠点のアーティストによる、現場仕様の一曲。イントロで引き込み、フロアの空気を変える。
  • ymxk - Crab Inna Barrel Riddim (Starlight Mix)
    夜の都会が似合うアーバンなムードのオリジナル・インスト。
  • ymxk - Crab Inna Barrel Riddim (Daylight Mix)
    同じリディムを再構築。爽やかで透明感のあるバージョン。

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