関西の俊英レゲエサウンド、エンペラー。
“音の格闘技”サウンド・クラッシュで頭角を現し、日本を代表する二大レゲエフェス『横浜レゲエ祭』『HIGHEST MOUNTAIN』にも出場。地元尼の盟友・THUNDERとの全国ツアーなどを通じて、尼崎から日本全国にその名を轟かしてきた。
そんな彼らが今年でめでたく結成10周年を迎える。
HOMEである尼崎まで赴き、もはや“若手”の冠もすっかり必要なくなった彼らに、街を一緒に散策しながら10年分の思い出をたっぷりと語ってもらった。
TAKU:2009年に尼崎で結成しました。
JACKEYとは同じ中学校の同級生で、お互いレゲエが好きで一緒にイベントを企画したのがきっかけでしたね。
元々は別のサウンドクルーで、EMPERORは現ホストMCのYUNG SACHIとNAOKIの幼馴染み3人でやってました!
JACKEYはONE WISHからのVOLCANOっていうサウンド名で活動してたかな。
尼崎のDEEPAと神戸岡本のSTORKってとこで、イベントを開催したりしてるうちに自然と一緒にサウンドをするようになりましたね。
JACKEY:よーちゃんは、THUND
YAMATO(※EMPERORマネージャー。THUNDERのマネージメントも兼任する)も同時期で、当時お客さんだったヤマトが「EMPERORの力にな
AXE、ZUNGGUはその後で彼らが組んでいたサウンドが解散し
※二人の母校、昭和中学校(現・尼崎市立中央中学校)
JACKEY:「DEEPA」っていうライブハウスがあってそこが始まりでした。毎月第2土曜日に開催し
地元のダンスってだけに誰よりも早く会場に行って練習したり、
それぐらい尼爆は大好きでした。
YO-CHANG:最初に1人でサウンドをやっている時に、京都で初めて出たダンス
TAKU:『尼爆(尼崎爆音化計画)』は自分達が始めたんじゃなくて、同い年のTHUNDERとDOWN TOWNのCHI-ROがDEEPAでキープしててリンクしてるうちに一緒にやろうやって言ってくれて尼爆CREWに入った感じです。
小さい箱なんですが、毎月みんなが集まって音楽で盛り上がってるのが楽しくてしょうがなかったです! 色んな人と出会って楽しい思い出がいっぱいあります。
尼爆は自分達のルーツですね……。
DEEPAが閉店して、神戸の太陽と虎に移動したり、今は尼崎のROUGH BEATで開催してます。
尼爆10周年の節目で『尼崎レゲエ祭』をみんなで団結して開催できたのも自分達にとって大きかったですね。
“尼崎爆音化計画”なんで尼崎にレゲエのシーンを作って音楽好きな人を少しでも増やして、音で人と人を繋げていけるように頑張っていきたいですね。
みんなもこの計画に乗っかってほしいです!
中央商店街の入り口にある、旧Deepaがあった場所
TAKU:初めてのサウンドクラッシュは2010年。今でもよく覚えてます。
EMPERORを結成して1年くらいたった頃、姫路のFAB SPACEってとこで初めてのサウンドクラッシュでした。この頃はジャマイカンのダブは1曲もなかったので、仕事を辞めてジャマイカに飛んで、毎日のようにダブ録りやってましたね! 貯めたお金、全部使っちゃいました!(笑)
このクラッシュは尼爆CREWのDOWN TOWNも出場してて、決勝のTune Fi Tuneは直接対決でした。
結果はチャンピオンになれましたが、ここからがスタートやなって思って、毎年のようにクラッシュに出るようになりましたね。
間違いなく人生のターニングポイントでした!
JACKEY:当時は初ジャマイカから帰ってきて調子乗ってた時期で、
これがきっかけで兵庫県以外の人にもEMPERORという名前が
TAKU:2016年、JACKEYとジャマイカ修行しに半年くらい行こうかってことで滞在してた時に『BOOM CLASH』がちょうどやってる時期で、元はクラッシュしに行くっていう感じじゃなくて、ストリートダンスでPLAYしたいなくらいに思ってました。
JACKEY:元々、日本の某SOUNDが出場する予定だったんです
3ヶ月に渡る長期戦なので中
TAKU:気が付けば勢いとバイブスで出ることになってましたね(笑)。
出場が決まってからは初の日本人サウンドってことで、プレッシャーが凄かったです。
応援してくれる周りの日本人やったり、ジャマイカ人がいたからやるしかないって気持ちになりました。毎日パトワ語勉強したり、勝つためにどうしたらいいかって考えたりミーティングを重ねて、猛練習しましたね。
その甲斐あって、KING ALLIANCEとSTAR KADEには勝利することができました。
セミファイナルでジャマイカのモンスターサウンド『FIRE LINKS』とタイマン勝負で、2ポイントとることができて、このままいったれーって思ったんですが、あと一歩届きませんでした。
JACKEY:F
TAKU:この頃、ストリートダンスでもよくPLAYしてましたね!
毎週日曜、Dexta Dapsの地元Sew ViewでSeven Eleven Sunday、毎週火曜日にJAM 1っていうところでPLAYしたり、営業が入ったりしました!
STONE LOVEとWEDDY WEDDYで一緒に廻せたんが凄い良い経験になりました!
創業150年以上の歴史を誇るかまぼこの銘店『枡千(ますせん)』
JACKEYから取材スタッフにも振る舞い。ごっつあんです!
あっつう〜!
JAPAN RUMBLE 2016
TAKU:自分らは1番後輩だったんでガンガン攻めていこうっていうスタイルでのぞみました。この場を借りて先輩達には生意気なこと言いまくったことを謝りたいです(笑)。
でも自分らなりのエンターテイメントとバイブスを出せたんでPLAYしてて楽しかったです! 会場が盛り上がったときの感覚はこの先も忘れないと思います。
JAPAN RUMBLEがきっかけでいろんな人に知ってもらえて全国からのブッキングが増えましたね。
JACKEY:はじめにMIGHTY CROWNのサイモンさんからオファーがあって即答で「出ます」
相手も自分達より先輩で挑戦するぜっていうVibesでした。
BOOM CLASH、JAPAN RUMBLEがあった2016年から一気に全国での営業が増えま
主催フェス『尼崎レゲエ祭』のポスターも街の至る所に貼ってある。
TAKU:THUNDERとタッグを組んで全国に回ったことで各地域の色んな人とリンクできましたし、その場所特有のボスする曲であったり、その街ならではのノリがあったりで面白かったです! 全箇所、当日用DUBを録ったりしてみんなにも喜んでもらえましたし、尼崎のレゲエを全国のリスナーの方にわかってもらえたかなって思います!
JACKEY:これはずっとやりたいなーって言うてたツアーでした。2017年、2018年と今まで2回THUNDERと全国ツアーをしましたが、1回目より
YO-CHANG:2017年、初の全国ツアーですね。このツアーで初めて行けた場所と、久しぶ
THUNDER『尼の唄』にも出てくる、三和本通商店街にあるストリートショップ『DONOBAN』
EMPERORのオリジナルTシャツも置いてある
JACKEY:同じ年に日本二大レゲエフェスに出れたのは純粋に嬉しかった。
あと事故で亡くした友達とハイエスト出ようなって約束してたので
YO-CHANG:ハイエストも何度か出演させていただいたんですが、何と言っても
TAKU:日本を代表する二大レゲエフェスに出演することはサウンドを始めた時からの夢でした! 10年前はお客さんとして舞洲のAブロックでタオルを振り回してたのが懐かしいです!
いつかあのステージでって夢から目標に変わっていって、舞洲のステージからアリーナを見た景色は格別で泣きそうになりました。
次は後輩達にかっこいい姿をみせて、夢を与えれるようなサウンドになりたいです!
あと「フェス」といえば毎年サウンドシステムを持って行かせてもらってる茨城の『BIG WAVE』も歴史が長い、素晴らしいフェスですね!
主催フェス『尼崎レゲエ祭』を行う尼崎スポーツの森に到着
YO-CHANG:クラッシュ前はクルーの中で色々な話をする良い機会だと思います
JACKEY:2018年にもJAPAN RUMBLEがあって僕らにもオファーがあったのですが、
それで挑んだ2019年だったんですが……今回もだめでした。
負けたラウンドの相手はずっとお世話になってる先輩のOGA君やっ
オガ君とはまたじっくりクラッシュやりたいです。
TAKU:今年こそはチャンピオンになってタイトル掴みとりたかったです。WORLD CLASHに挑戦したいって気持ちは2016年よりも大きかったですね。
OGA君はサウンド始めて間もないときからずっと面倒を見てくれてたお兄ちゃん的な存在ですし、色んなことを教えてくれた師匠でもあります。
3ラウンド目で当たってしまうんかいって思いましたが、あのラウンドはオガ君も全部受け止めてくれましたし、自分達も全力でいけましたね!
負けたときはめちゃくちゃ悔しかったですが、なんか清々しかったです!
スポーツしてる感覚というか、高校野球の甲子園夏の大会みたいな。
尼のハワイアン・カフェ『Pa'ina Wharf』でコーヒーブレイク
オーナーの多田さんと一緒に
ZUNGGU:色々なところでキャラクターだけが一人歩きしてる状態ですね。
二年程前からラヴァーズ・ロック好きが高じてラヴァーズ・
あ、後これ書いといて欲しいんですが、日本にラヴァーズ・ロックをもっと広めるために永年の友人であるEARTH BEATのKO君と一緒にラヴァーズ・ロックの数々の名曲を和訳するサイト、その名も『It's A Romance』を最近立ち上げました!
素敵なヘッダーを作ってくれたのはfelinegroovyこと天才デザイナーのSANAEさんです。BIG UPさなちゃん!!(^^)
NYで長期修行中のメンバー・AXEショートインタビュー
TAKU:今は西宮に住んで長くなりますが、やっぱり尼崎には魅力を感じますね。
尼崎の街もそうですが、住んでる人達には凄いパワーがあると思います!
なんかジャマイカみたいやなって思ったこともありますね。
ガラが悪いイメージありますが、住めば都です。人情味があって温かいです!
今では住みやすい街No.1になるくらい大阪、神戸にもアクセスがよくて便利です。
最近では地方からアーティトも引っ越してきたり盛り上がってきてますね!
YO-CHANG:もともと京都に住んでいたんですが、EMPERORに入るタイミングです
ZUNGGU:ぼくは大阪なので在住ではないんですが、やっぱりいつ来ても何か懐かしい気持ちになるというか……凄いあったかい街やと思ってますね。
JACKEY:生まれてからずっと尼崎に住んでいてほんまに尼崎が大好きです。
だから尼崎でダンスをするっていうのはこれからも絶対やし、
この日はEMPERORのサウンド・システムを搬入しての野外ダンスも行われた
この日TAKUが着用していたTシャツは自身のブランドROYAL MAJESTYのもの
JACKEY:来年は海外でのクラッシュが決まっているし、
後はプロデューサーとしての動きも増やしていくつもりです、
国内外両方で通用するSOUNDっていいですね!
YO-CHANG:以前尼爆をしていた場所が潰れてしまっていたので、尼崎でオール
ZUNGGU:今年中にMix CDをリリースするつもりで動いていて、
TAKU:今年でEMPERORが結成10周年なんで、11月に神戸、名古屋、横浜で10周年イベントを企画しています。全国のレゲエ好き、音楽好きみんなと一緒に盛り上がりたいですね! 詳細はもうすぐ解禁できると思います! お楽しみに!!
もちろん国内だけじゃなくて、世界にもアプローチしていきたいですね。
ジャマイカ、ニューヨーク、マイアミ、トリニダードは行ったことありますが、ヨーロッパやアジアでもPlayしてみたいです。
ちなみにJACKEYが言った通り2020年の3月7日にアンティーガでのサウンドクラッシュが決まりました。日本を代表して全力でぶつかってきます!
みんな応援よろしくお願いします!!
イベント企画ももちろんなんですが、MIX CD制作やプロデュース、アパレルの方も力いれてマルチに活躍はしていきたいですね。ぼく個人としてはZION GATEっていうWEB SHOPを自分で作ってCDや服、CBDオイルなんかも販売したりしてます!
あと毎週木曜日、夜10時から17ライブっていうアプリで"特攻のタクチャンネル"っていう音楽番組を配信しています。サウンドクラウドやミックスクラウドでもアーカイブを残してるんで、是非チェックしてほしいです。
やることは山積みですが、今後のEMPERORにばっちり注目してほしいです!
まだ自分がROCKERS channelというメディアで書いてた頃、初めて書いた記事を「これ絶対みんな読んで!」と、Twitterで勝手に拡散してくれたのが、たっくんだった。
「何か知らんけどめっちゃいい人がいる!」とかなり印象に残ったが、初めて会った時も普通にいい人で、それから今に至るEMPERORとの付き合いが始まった。
彼らが初めて聖地ジャマイカで『BOOM CLASH』に出た時は、何と“EMPEROR”というワードがTwitterのトレンド入り(!)まで果たし、新時代の到来を強く感じさせた。
EMPERORが日本を代表するサウンドにまで登りつめることが出来たのは、実力もさることながらその人柄によるところも大きいだろう。タフでなければ生き残れないショウビズの世界で、彼らは10年以上ずっと己をキープし続け、けして汚いことはやらなかった。
そう、いつだって彼らは「やさしくて格好良い下町のお兄ちゃん」だった。
今年のJAPAN RUMBLEの当日の朝、ズン様と一時間以上電話でバカ話をしてゲラゲラ笑い、
「あ、もう電車来たんで行きますわー!」
「おう行って来い! かましてこいよー!!」
で、見送ったのは忘れられない思い出。
10周年、本当におめでとう。ソロバンより。
【SOUND profile】
兵庫県尼崎市。ダウンタウンの出身地としても広く知られる、この関西きっての人情味溢れる街から日本のレゲエ・ダンスホールシーンを大きく揺さぶらんとする若武者たちが居ることを、皆さんはご存知だろうか? 彼らの名前は『EMPEROR』。もしあなたが多少なりともこの音楽文化に興味をお持ちだったら、この名を覚えておいて間違いなく損はしない。
彼らが最初に注目されるきっかけを作ったのはサウンドクラッシュだった。
2014年、関西で行われたクラッシュの全国大会『WAR! WAR! WAR!』で準優勝を遂げると、その勢いのまま“聖地”ジャマイカへと飛び、 各国から名うての猛者がエントリーする『BOOM CLASH』に参戦。FIRE LINKSやTONY MATTERHORNなど世界トップクラスのSOUNDも エントリーする中、唯一のアジア人のREGGAE SOUNDとして死闘を繰り広げ、二度勝利を収めた(※実際にLINKSとは対戦も!)。 ま た、2016年の年末には翌年の『WORLD CLASH』の日本代表を決定する『JAPAN RUMBLE』に参戦。惜しくもトロフィーは逃すものの、 その若さ溢れる溌剌としたMC、巧みにカスタマイズされた日本語DUBは、全サウンド中一番と言っても過言ではないインパクトを残した。
もちろん、サウンドクラッシュで有名になった彼らだが、そればかりが『EMPEROR』ではない。 2017年には、尼の盟友・THUNDERとの初の全国ツアーも大成功させ、また、日本を代表するレゲエの二大フェス『横浜レゲエ祭』 『HIGHEST MOUNTAIN』にも初出演。 たとえ“クラッシュ”ではなくとも、何処であろうと常に“ゲンバ”をROCKし、数え切れないほどのライターの花を咲かすサウンド......それ が『EMPEROR』である。
この、「尼が生んだ若き皇帝」からはしばらく目を離す隙がなさそうだ。
text:SOLO BANTON
Twitter:@EmperorSoundAma Instagram:@emperor_japan
【PHOTOGRAPHER profile】
1999年の春、サウンドマンに誘われて初めて行ったCLUBで聴いたDANCEHALL REGGAEに衝撃を受け、その後REGGAEにどっぷりハマる。
2002年 当時足繁く通っていた滋賀のCLUB RAGEのスタッフ YASSALに誘われREAL ROCK SOUNDを結成、セレクターとして活動し始める。
その数年後REAL ROCKを脱退し、YARD Hi-Fi SOUNDに加入、現在はTIGER BALMというセレクターネームで年に数回活動中w
カメラマンとしては、2008年趣味でカメラを始める。
写真の魅力にとりつかれ、出演するDANCEの現場でも自然と撮影し始め、遊びに行った先でもゲリラ的に撮影を敢行。
2018年、縁あって「JERK CHICKEN」 Jr.Dee の7インチレコードジャケットを撮影。
現在、小箱から野外フェスの撮影はもちろん、アーティスト配信曲のジャケット撮影や、宣材写真、幼稚園の運動会から飲食店の物撮りまで行い、撮影対象は幅広い。
笑顔を撮ることをモットーとしている。
Instagram:@tiger_balm_man
日時:9月23日(月・祝) 12:00〜
場所:尼崎の森中央緑地施設 はじまりの森
【チケット取り扱い】
ローチケ/CNプレイガイド/e+/チケットぴあ/LINE TICKET
Lコード:52964
前売 5500円
タオル付前売り 7000円
団体チケット 20000円
※5名様まで入場可能
【出演】
THUNDER / CHOZEN LEE / SHINGO★西成 & DJ FUKU
PETER MAN / RUDEBWOY FACE
BIG BEAR / PERSIA
ジャパニーズマゲニーズ / J-REXXX
EXPRESS / VIGORMAN / SHADY / BOIL RHYME
たなけん / RAY / HIPLIN / DORA / IKKEI
KAZAN / ONEDER / ARC-MAN / KAWMAN
NATURAL P
EMPEROR
OGA from JAH WORKS
DOWN TOWN
【SOLO BANTON】
ライター / デザイナー。全国各地のフライヤーやCDジャケットをPOPに美しく彩る『ソロバングラフィック』代表。また音楽ライターとしても活躍し、特に日本のレゲエシーンにおけるトレンドを生み出す重要人物として広く知られている。
Instagram:@solobanton.desu
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