本アルバム『Wanted: One Soul Singer』は、ディープ・ソウル・ファンの間では「定番中の定番、一家に一枚」として崇められる不朽の名盤です。
主役のジョニー・テイラーは、単なる新人ではありませんでした。彼は伝説のサム・クックの後釜として「ソウル・ステアラーズ」のリードを務め、ゴスペル界の頂点を極めた男です。1966年に名門Staxと契約した彼は、オーティス・レディングの影に隠れながらも、したたかに牙を研いでいました。
本作の魅力は、サム・クック譲りのエレガントな気品と、メンフィス直送の野性味あふれる「泥臭さ」が奇跡的なバランスで同居している点にあります。バックを固めるのはBooker T. & the M.G.sとメンフィス・ホーンズ。アル・ジャクソンJr.による重厚な“ファットバック”なドラムが、ジョニーの湿り気を帯びた熱いボーカルを押し上げます。
特に、労働歌をファンキーに再構築した「Sixteen Tons」や、深い喪失感を歌う「Little Bluebird」は圧巻。スタックスが彼に授けた“ソウルの哲学者”という称号通り、人生の酸いも甘いも噛み分けた男の「説教(サーモン)」が、あなたの部屋を本物のソウル・バーへと変えてくれるでしょう。