東京の地下、平日の真夜中で声を荒げていたのがまだ目に残る。ステージの後ろでDJをしながら首を振るillsugiはヨーロッパも確実にスイングさせた世界に注目されるビートシーンの重鎮だ。気の利いたグルーブに唸るベース、揺れるために斜めからくるスネアが人をずっしりとソファに沈める。ステージの上で騒ぎ、金を持った時期はクラブの角で静かにタバコをふかし、ペンよりも太い’Fatslide'を皆に廻すような男だった。高いナレッジから一人向かい直した今作。消えた友人、愛する女、大切な仲間が一層大きく見えたんじゃないかと思う。ラッパーとしてハードなリリックはもういらないと、掌中にあるものを淡々と語る。ある日、マチスが突如作風を変えた理由も、彼には分かるのかもしれない。ヒップホップのハードライフに生きたリアル、心の虚ろいが美しい。朝方、見慣れた雑居ビルの眩しい閃光と、どこか懐かしい匂いのような新しい風がこの作品によって町中を吹き抜ける。
Produced And Mixed By. illsugi
Exective Produced By. MetaFlower
Designed By. Yuto Nakamura
Mastered By. gooddick
Filmed By. Yuta Koga
Produced And Mixed By. illsugi
Exective Produced By. MetaFlower
Designed By. Yuto Nakamura
Mastered By. gooddick
Filmed By. Yuta Koga